活字中毒

 世の中には活字中毒という人たちがいるらしい。そして多分自分もその一人だ。時間を持て余しているとき、活字があればとりあえず時間をつぶせる。

 その時の活字は正直なんでもいい。普段読まないような週刊誌でも、スポーツ新聞でも、はたまた新幹線のシートに刺さっているようなフリーペーパーでもいい。自分がまだ見ぬ活字を読むことに何かしらの満足を得る。

 活字中毒を公言している作家に椎名誠さんがいる。エッセイの中でもたびたびその中毒ぶりが描かれているし、忙しい移動の最中であっても活字を求めて本を買い、ハードカバーの強烈なやつも持ち歩く。

 時代は変わりKindleなどの電子書籍が一般的になった。もちろん自分も愛用しているが、どこかしっくりこない。自分はたばこを吸わないのでわからないが、なんとなく電子たばこを吸うような感覚なんじゃないか、と思う。そのもどかしさはうまく表現できないが、落ち着いて本を読みたいときは必ず紙の本を手に取る。

 

 ところで、自分の活字中毒は読むだけじゃなく、書く方も患っている気がする。自分は職業柄文章を書くことが多く、さらにその文章の構成や細かい言葉の言い回し、伝わりやすさ、などに気を使うことが多い。その反動からか、くだらない文章をツイッターでばらまいたり、駄文を吐き出したくなる。職業プログラマが休日に好きなようにプログラミングしたくなる感覚と似ているのかもしれない。特別意味のある文章を書きたいわけじゃない。ただ、思うがままに文字に起こしたい。読む方をインプット型活字中毒とすれば、アウトプット型活字中毒とでも言おうか。

 

 と、こんな感じで文章を書くだけでストレス解消にもなっている。安いものだ。